2012年2月8日水曜日

[読書]青春を山にかけて 植村直己

1960から80年代にかけて五大陸最高峰登頂、アマゾン川単独6000キロ筏下り、単独犬ゾリでの北極点到達等を成し遂げた登山家、冒険家である植村直己氏の自伝。

山や人に対して謙虚でいることの重要性、何かを成し遂げるためには選択と集中が必要なことをこの本から学ぶことができた。

謙虚さについて。
著者は明治大学山岳部を卒業後、数万円をもって単身アメリカに渡り、ヨーロッパ登山に向けて農場で働き、勢いから冬季のモンブランに単身で挑んだ。結果は、クレバスに途中まで落ちてしまい、命からがらの敗退であった。その後、山に対して謙虚な姿勢で、念入りな準備と対策を行い、モンブランやマッキンリーといった山を征していった。著者は人に対しても謙虚であり、偉大な功績を挙げたにも関わらず、自分は山を登る以外に何にもできない、と自己を分析していた。また、エベレスト登頂の際は、登頂者の何十倍もの人がお金と時間と命をかけて、登頂者を支えており、それにも関わらず、メディアでクローズアップされるのは登頂者(自分)だけなのはおかしいと著者は主張している。

私は著者の謙虚な姿勢に共感する。この先、自分が取り上げられるような立場になっても、この気持ちを忘れずにいたいと思う。人からの評価でなく、自分が成し遂げたことや日々の行いの中で自尊心を満足させられるような人間ならきっと大丈夫なはずだ。これが自分の目指す姿だ。

選択と集中について。
著者はスポンサーなしに登山や冒険を行った期間が長かった。その際、無駄金は一切使わず、全てをやりたいことに注いだ。スイスのスキー場で働いている時は、安いパン、ジャガイモを主食として、南米やアフリカではそれで2日分の食費が賄えるからとコーヒーさえも飲まなかった。好意を寄せる女性から誘われたクリスマスでさえも、家で素朴な生活を続けていた。たとえ、その姿を見られて彼女を悲しませるという辛い思いをしてさえも。著者は大きなものを犠牲にして、やりたいことを成し遂げたのだろう。

私についても、この1月が正にそれを多少なりとも体現した時間だったように思う。私の場合は、節約したのはお金ではなく、時間であったが、誰よりも集中して、寸暇を惜しんで作業に取り組むよう意識した。著者のように徹底し続けることはできなかったが、それでも研究をしながらスキーに取り組むことはできた。これから先もきっと、誰よりも集中して、それでも足りなければ何かを犠牲にしながら、やりたいことをやることになるだろう。趣味、家族の営み、仕事、地域貢献とやりたいことは山ほどある。著者ほどになれるかどうかはわからないが、やってみようじゃないか。

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